第33回_大江戸バッドガイズ千里行

2015年 大塚萬劇場
主催/THE☆JACABAL’S〈ザ☆ジャカバルズ〉
脚本/阿部 ぽてと

~~~第33回~~~

【第二十一場】

   遊郭。

   羽白と村雨がいる。

村雨   間もなく纏まった金が入る。そしたら羽白、お前を俺の妻に迎い入れたい。

羽白   ……夢のよう……アタシ、こんなに嬉しいこと生まれて初めてだよ。

村雨   ハッハッハ、夢ではない。流れ者だった儂も、ようやくお主という安住の地に巡り合えた。この後は今より嬉しいこと、夢のような日々を、二人で歩んで行くのだ。

羽白   ……菊一様。

   二人が良い雰囲気の所、音流の奏でる音が聞こえてくる。

羽白   この音は?

村雨   音流か?

   音流、出て来る。

羽白   何この人?

村雨   儂と子供の頃からの付き合いで、共に江戸に流れて来た者だ……如何致した。

   音流、音を奏でる。

村雨   建前はいいから要件を申せ。

羽白   え?

   音流、音を奏でる。

村雨   怒ってなどおらぬ。

羽白   旦那、この人が何言ってるか音を聞いただけで分かるのかい?

村雨   ああ。

羽白   ……。

村雨   それで、なんなのだ?

   音流、音を奏でる。

村雨   ……何? ……何だって!?

羽白   どうしたんだい?

村雨   乗松屋に同心が踏み込もうとしてると、報せを受けたと。

羽白   ええ!?

村雨   おのれ!

   と、駆けて行く。

羽白   菊一様!?

   と、心配そうに村雨のハケた方を見つめる。

   暗転。

第34回へつづく

次回公演

真田黙示録

2020年 8月19日(水)~23日(日)
シアターχ(東京・両国)
作 /江戸川崇(カラスカ)
演出/重住燎
主催/THE☆JACABAL’S〈ザ☆ジャカバルズ〉
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