2015年 大塚萬劇場
主催/THE☆JACABAL’S〈ザ☆ジャカバルズ〉
脚本/阿部 ぽてと
~~~第9回~~~
【第六場】
捕り方の笛の音が響く中、いちかと怪我をした二郎が走り込んで来る。
いちか 大丈夫かい二郎?
二郎 オラは平気だ、姉ちゃんは?
いちか 大丈夫だよ。
二郎 なぁ、どうすりゃいいんだ?
いちか アタイだって分からないよ……ったく、厄介な男を引っかけちまったね。
二郎 あいつのせいで、そこら中、捕り方だらけだ。
いちか 吉兆の旦那に何とかしてもらうしか……
二郎 ダメだよ、勝手に悪さしたことがバレちまう。
いちか んなこと言ってる場合かい。そもそも新しい奴入れてアタシ等の取り分が減ったから……
音流五郎の鳴らす音が聞こえて来る。
いちか この音……
二郎 奴等だ。
音流五郎が姿を現し、続いて村雨菊一が現れる。
村雨 男を誘い、乗ったところで野蛮な男が出て来る、そうして金を脅し取ろうとは……小さな悪事よのう。
いちか しつこい男だね……しつこい男は女に好かれないよ。
村雨 なるほど、今後は気を付けるとしよう。
と、刀を抜く。
いちか !?
二郎 姉ちゃん逃げろ! オラがなんとかするから。
いちか 馬鹿言うんじゃないよ! アンタが敵う相手じゃないだろ。
二郎 だから姉ちゃんだけでも逃げるんだよ。
そこに切りかかって間を割る村雨。
二郎 早く!
いちか、逃げる。
逃げた方に立ち塞がる二郎。
村雨 男を見せるではないか。
二郎 うるせい! こっから先は通さねぇぞ!
村雨 悪人風情が……
と、刀の刃を逆にする。
二郎(素手?)対 村雨(峰打ち)の殺陣。
殺陣の間、音流がリズムを奏でる?
村雨によりボコボコにやられる二郎。
ボロボロになっても、いちかを逃がす為に立ち上がる二郎。
村雨 見上げた根性だ。
と、最後の一撃を加える。
二郎絶叫。
暗転。
第10回へつづく
次回公演
「真田黙示録」
2020年 8月19日(水)~23日(日)
シアターχ(東京・両国)
作 /江戸川崇(カラスカ)
演出/重住燎
主催/THE☆JACABAL’S〈ザ☆ジャカバルズ〉
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