第18回_大江戸バッドガイズ千里行

2015年 大塚萬劇場
主催/THE☆JACABAL’S〈ザ☆ジャカバルズ〉
脚本/阿部 ぽてと

~~~第18回~~~

【第十二場】

   犯罪組織のアジト。

   徳丸、佐川、吉兆、松本、あやめ、いちか、芝助、山吉がいる。

吉兆   ふざけたものよのう……奉行所の障子張り如きで儂を呼び出すとは……真ふざけたものだ!

芝助   で、俺達は何で呼び出されたんだよ。しばらく召集ないんじゃなかったのか?

吉兆   状況が変わった……江戸の用心棒と呼ばれ、今は乗松屋の用心棒を請け負っている男、村雨菊一。そいつを我等の手で潰す。

芝助   はぁ? いつもみたいに盗みじゃねぇのかよ?

山吉   旦那、まさか逆恨みって奴じゃ?

芝助   何だそれ? 惚れた女でも取られたのか?

吉兆   黙れ! そいつのせいで悪事が働けなくなったのだ、奴は消さねばならぬ。

あやめ  潰すって、アタシ等殺しはしないんじゃないの?

吉兆   殺さずとも、痛めつければよい。江戸から逃げ出したくなるほどにな。

芝助   稼ぎはどうなんだよ? 痛めつけたって一銭にもならねぇだろ。

吉兆   乗松屋の用心棒だ、奴の懐にはそれ相応の金が入っている。

芝助   割りに合うのかねぇ?

吉兆   松本、佐川、徳丸。お前達にもやってもらうぞ。噂によればかなりの腕らしいが……多勢に無勢、この人数で襲えば一たまりもあるまい。

いちか  ……旦那、二郎のこと何か知らないかい?

吉兆   二郎?

いちか  帰って来ないんだよ、あれから半月……佐川の旦那が言ってたように大した罪じゃなければ二日で出されるっていうのに……何か聞いちゃいないかい?

松本   儂等、受け持ちが牢番ではないのだ……あまり深く聞くことも出来なくてな。

吉兆   心配せずとも直に出て来る。

いちか  でも!

松本   気がかりではあるな。

吉兆   松本。

松本   それとなく調べてみよう。

いちか  旦那。

吉兆   必要ない、今は村雨を始末することだけを考えろ。

松本   しかし、仲間として二郎の事は心配であろう? それに、今ことを起こすのは。

吉兆   儂がやると言っておるのだ。

松本   吉兆。

吉兆   これは命令だ! 黙って従え。

松本   ……儂もお主と同じ同心。その様に命令される覚えはないがな。

吉兆   何……下らぬ色恋沙汰に惑わされ儂に逆らうのか? 言ったであろう下らぬ色恋に溺れるとロクな目に合わぬと。

松本   ……お主だって下らぬ色恋沙汰では?

吉兆   何んだと?

松本   それで儂や他の者達を危険に晒して……今ことを起こすのが、どれだけ危険かお主も分かるだろ。

吉兆   危険だろうが何だろうが、儂がやると言っている。この組織は儂の組織、儂に従っておればよいのだ。

松本   中心はお主かもしれぬが、儂とお主で作った組織だ。決してお主一人の物では。

吉兆   随分と都合の良い事を言うな。吉兆、吉兆と、儂がいなければ何も出来ぬお前が、儂と同等のつもりか?

松本   ……。

吉兆   お前にこいつ等を束ねることが出来たか? ロクに悪事も働けぬ半端者を使い金を稼ぐ、お前にそれが出来たか?

松本   ……。 

吉兆   佐川、お前はどうだ?

佐川   ……。

吉兆   儂だから出来たことだ。お前等全員、儂がいなければこの江戸で地べたを這いつくばっていたのだろ? 誰がお前等を救ってやった!

一同   ……。

あやめ  ……アンタに救ってもらった覚えは一度もないよ。

吉兆   !?

あやめ  アンタに人を救うことなんて出来ないだろ?

吉兆   何だとクソ女……

   と、あやめに襲い掛ろうとするが松本と山吉に止められる。

第19回へつづく

次回公演

真田黙示録

2020年 8月19日(水)~23日(日)
シアターχ(東京・両国)
作 /江戸川崇(カラスカ)
演出/重住燎
主催/THE☆JACABAL’S〈ザ☆ジャカバルズ〉
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